このページでは、強み経営コンサルティング有限会社が用いている
SmallBizの考え方と定義を整理します。

私たちは、法律上の区分としての「中小企業」ではなく、
オーナー社長が舵を取る独立系の企業を、あえてSmallBizと呼び分けています。

ここでの前提を共有することが、
会社の「成長軌道」を一緒に設計していくうえでの出発点になります。


1. なぜ「中小企業」ではなく「SmallBiz」と呼ぶのか

一般に「中小企業」は、

  • 資本金・従業員数・売上などの規模基準で区分される法律上のカテゴリー
  • 補助金・金融支援など、制度の対象範囲を決めるための枠組み

として扱われます。

一方で、オーナー社長が舵を取る企業の現実は、

  • 社長の意思決定ひとつで、成長スピードや方向が大きく変わる
  • 同じ業種・規模でも、「どこで稼ぎ、どこに負担がかかっているか」が全く違う
  • 行政や金融機関の「平均的な中小企業像」に合わせても、会社としての成長軌道が良くなるとは限らない

というものです。

そこで私たちは、「中小企業」という箱で一括りにするのではなく、
オーナー社長の意思決定と資源制約のあり方に注目し、
あらためてSmallBizという独立したカテゴリーとして捉え直しています。


2. SmallBizの定義(tuyomi.com版)

SmallBizは、規模の大小ではなく、経営の構造とあり方によって定義される経営主体です。

私たちは、概ね次のような特徴を持つ企業をSmallBizと呼びます。

SmallBizの構造的な特徴

  • オーナー社長の意思決定が、組織全体に素早く反映される
  • 人・モノ・カネに明確な制約があることを前提に動いている
  • 構想から実行までの距離が近く、変化に対して柔軟に方向転換できる
  • 顧客・地域・現場との距離が近く、フィードバックの感度が高い

対象とするレンジ(目安)

  • 年商1〜30億円程度を中心とするオーナー企業
  • 非上場・独立系で、グループ本社や親会社の意向に左右されにくい会社
  • 上場やIPOよりも、「自分たちらしい成長」を重視している会社

規模がこれより大きくても、
意思決定構造として上記の特徴を保っている企業は、SmallBizとして扱います。

逆に、規模が小さくても、

  • オーナーの裁量が小さい
  • 意思決定が分散し、大企業型のガバナンスに近い

といった場合は、ここでいうSmallBizとは少し異なる前提になります。


3. SmallBizの4つのコア要素

SmallBizを単なる「小さい企業」と見なさず、
独立した経営主体として捉えるために、私たちは次の4要素を重視しています。

  1. 自律性
    自分たちの意思で、成長の方向性とスピードを選べること。
    行政施策や取引先の方針に振り回されるのではなく、
    経営者自身が「どこまで伸ばすか」を主体的に決められる状態。
  2. 柔軟性
    大きな固定費や組織構造に縛られず、
    小さく試しながら素早く方向転換できること。
    HIFIモデルでいう「高速テストとシフト」を現実的に活かせる土台です。
  3. 持続性
    単年度の数字合わせではなく、
    税引後利益とキャッシュフローを積み上げながら、
    事業を続けていける見通しがあること。
  4. 近接性
    顧客・地域・現場との距離が近く、
    顔の見える関係性の中で価値提供をしていること。
    データだけでなく、生の声や空気感から学べる距離感です。

これら4つの要素が揃うと、
SmallBizは「大企業の縮小版」ではなく、
別の存在構造を持つ経営主体として見えてきます。


4. どのような会社がSmallBizの対象になるか

具体的には、次のような会社を主な対象としています。

  • オーナー社長、または2〜3代目社長が経営の最前線に立っている
  • 年商1〜30億円程度の、非上場・独立系の企業である
  • 上場やIPOではなく、「自分たちらしい成長」を重視している
  • 売上は伸びてきたが、利益やキャッシュが思うように増えていない
  • このままでは数年先に頭打ちになるのではないかと感じている
  • 事業承継・M&A・事業再構築など、数年単位の大きな岐路が見え始めている

こうした企業は、
従来の「中小企業」議論の前提からはこぼれやすい一方で、
適切な成長軌道を描けば、大きなポテンシャルを持つ層でもあります。


5. なぜこの区別が「成長軌道の設計」に重要なのか

成長軌道を設計するとき、
自社を「中小企業」とみなすか、「SmallBiz」とみなすかで、打ち手の選び方が変わります。

ここでは、特に重要な3点だけ挙げます。

  1. 平均的な中小企業モデルに合わせても、現実と噛み合わない
    行政や金融の枠組みは、多くの場合「平均的な中小企業像」を前提としています。
    しかし、SmallBizでは、社長の意思決定と資源配分の癖によって、
    同じ業種・同じ規模でも成長パターンが大きく異なります。
  2. 組織・人材の前提が違う
    部門別組織図や等級制度を前提にした「中小企業モデル」は、
    一人が複数の役割を兼ね、外部パートナーも含めて動かしているSmallBizの実態とはズレが生じます。
    SmallBizでは、「実際に誰がどう動いているか」から成長軌道を設計する必要があります。
  3. オーナー社長の人生時間軸が、会社の時間軸を決める
    SmallBizでは、社長個人の年齢・家族・相続・健康といった要素が、
    会社の時間軸と出口(承継・売却・縮小など)を直接規定します。
    そのため、「安全運転の中期経営計画」ではなく、
    オーナーの人生時間軸に沿った成長軌道の設計が不可欠です。

6. SmallBizとして自社を捉え直すためのチェックポイント

ご自身の会社が、ここでいうSmallBizに当てはまるかどうかを、
次のような問いで確認してみてください。

  • 重要な投資や撤退は、最終的に社長の一存で決まるか
  • 社長が考え方を変えると、数ヶ月以内に会社の動き方も変わるか
  • 「理想の組織図」よりも、「今いる人とネットワーク」で何とかしてきた実感があるか
  • 補助金・制度に合わせて動くより、「自社のペース」を優先したいと思っているか
  • 自分の年齢や家族の状況を前提に、「この先10年でどこまで伸ばすか」を考え始めているか

もし、いくつか心当たりがあれば、
その会社はおそらく、ここでいうSmallBizに近い存在です。


7. 関連情報へのリンク

SmallBizの考え方や、具体的な成長軌道の設計方法については、
smallbiz.jp 側でも詳しく解説しています。

これらのコンテンツとあわせて、
あなたの会社を「中小企業」ではなく「SmallBiz」として捉え直すところから、
これからの成長軌道を一緒に設計していければと思います。