それでは、「強み経営シリーズ」第二弾『小さな会社の経営計画』の執筆を開始しましょう。でも、書き始める前にやっておかなければいけないことがあります。この本は、ビジネス電子出版です。ビジネス電子出版の目的は、著者の本業への何らかの貢献です。そのためにはマーケティング戦略が不可欠です。そこで、執筆前に次のような内容を検討しておく必要があります。
- ビジネス電子出版の目的
- 対象読者の明確化
- コンセプト
- タイトル
- サブタイトル
- 目次案
- 執筆方法・文字数・文体・本の体裁
- 出版時期(原稿締め切り)
タイトルやサブタイトルは仮でもかまいませんが、一応決めておきます。では、順番に検討していきましょう。
ビジネス電子出版の目的
わたしはこの本を出版することで、次のような成果を得たいと思います。
- 強み経営シリーズの第二弾として、第一作の読者に次なる経営のヒントを提供すること
- 強み経営シリーズの第三作につながること
- 第二作を出すことで「強み経営シリーズ」の知名度を高めること
- 「強み経営」という言葉の知名度を高めること
- 「小さな会社」と言えば、当社と知ってもらえるようになること
- ビジネス電子出版したいというクライアントを見つけること
では、これらの得たい成果が達成されたかどうかを何で評価したらよいでしょうか。しつこいようですが、ビジネス電子出版の目的は、著者の本業への何らかの貢献です。つまりビジネスと同様に評価指標を決めておきます。わたしの本業は、コンサルティング業でありエストリビューター業です。最終目標である本業への貢献が達成されたかどうかの指標をKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標) といいます。そこで、今回の出版のKGIを次のように決めまました。
- 2016年中に第一作、第二作合わせて1,000冊以上を売り上げる。
- 2016年中に小さな会社からの相談依頼を10件獲得する。
- 2016年中に商工会・商工会議所から「経営計画セミナー」の講師依頼を3件獲得する。
- 2016年中にエストリビューターとして、ビジネス電子出版を30冊おこなう。
いずれもわたしにとってはハードルの高い目標です。がんばりがいのあるチャレンジングな目標ができました。次に新作をだれに読んでいただきたいのか、対象読者を明確にしましょう。
対象読者の明確化
「強み経営シリーズ」第二弾『小さな会社の経営計画』のターゲットは、基本的には第一作と同じです。第一作のターゲット読者について、次のように書きました。
次に本の読者が誰かを明確にする必要があります。補助金の活用法を誰に向けて書くかということです。この本のメインターゲットは、小さな会社の経営者で す。従業員数が数十名以上の会社は、総務や経理がそれなりにしっかりしているので、補助金の申請も自社で十分対応できます。しかし、個人事業主や数人から 十数人程度の会社では、社長様以下全員がとても忙しく、いくつもの業務をかけ持たれていることがほとんどです。このため、補助金の申請書をじっくりと書け る人が社内におらず、経営者が書かざるを得ません。そんな会社の社長がメインターゲットです。(補助金活用ノウハウ本の出版裏事情)
メインターゲットは同じですが、今回は次のような読者を想定しています。
- 「経営計画書作成セミナー」を受講いただいたような、数十年にわたり地域に根ざした家業を引き継いだり引き継ぐ予定の若手経営者
- それらの若手経営者を支援する商工会や商工会議所の若手経営指導員
- それらの若手経営者をサポートする税理士などの士業の先生
この本の執筆のベースは、昨年と今年、2年連続で担当させていただいたある商工会での「経営計画書作成セミナー」です。そのセミナーにご参加いただいた皆さまが、「数十年にわたり地域に根ざした家業を引き継いだり引き継ぐ予定の若手経営者」だったのです。この参加者の皆さまとディスカションしたことを踏まえて、こうした小さな会社にふさわしい経営計画の作成ノウハウについて書きたいと思います。
コンセプト
コンセプトを明確化するために、以下の質問に対する答えを考えてみました。
読者の悩みや不安は何か?
セミナー参加者とディスカッションした中では、次のような悩みや不安があるように感じました。
- 「小規模事業者持続化補助金」を活用したいが、そのためには補助金申請書にある「経営計画」を作成しなければいけない。これに何をどう書いたらよいかがわからない。
- 既存顧客の高齢化が進み、徐々に売上が落ちている。家業でいつまで食べていけるか心配である。
- 自分が経営を引き継いだ後も、父親のやり方のままでよいのか。自分なりに新たなことにチャレンジしたい。しかしそれが成功するか確信がもてず、やるべきか迷っている。また、失敗した時のことを考えると恐ろしい。
- 新規顧客を獲得するにはどうしたらよいか。ホームページを活用して、地域外の人にも販売したいが、なかなか上手くいかない。
なぜ悩んでいるのか?
こうした悩みや不安がなぜ解消しないのでしょうか。その理由を考えてみました。
- だれに相談したらよいかわからない。
- 専門家に相談したいが費用が高い。
- 費用に見合う効果があるか確証が持てない。
- やるべきことがたくさんあって、どれから手を付けたらよいか決められない。
現在の解決方法
それでも何らかの対応をしている場合もあります。それはどのようなものでしょうか。たとえば、次のようにして悩みや不安を解決しているのではないでしょうか。
- 資金繰りや補助金申請など具体的な問題が生じたときは、商工会のなじみの経営指導員に相談して、支援してもらっている。
- 同業者の集まりや青年部のメンバーと情報交換して、やり方を学んでいる。
- 目先の仕事を優先しており、問題は感じているが特に何もしていない。
わたしが提供できる解決策
この本でわたしが読者に提供できる解決策は次のようなものです。
- 「小規模事業者持続化補助金」の1ページの「経営計画」を自分で書けるようになる。
- 経営を引き継いだが、何から手を付けたらよいか、何を変えて何を残すべきかを迷っている人は、「経営計画」をつくることで、頭の中が整理されやるべきことが明確になる。
以上をまとめて、この本のキラーコンセプトは、自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」としました。
タイトル
この本のタイトルは、「強み経営シリーズ」第二弾『小さな会社の経営計画』です。
サブタイトル
この本のサブタイトルは、上記でまとめたキラーコンセプトをそのまま使い、自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」とします。
目次案
最後に、目次案を検討しました。現時点での目次案は、以下の通りです。
- はじめに
- 第一章
- 自己紹介
- 本書を書くきっかけ
- なぜ経営計画は書けないのか
- 本書の割り切り
- 本書を読むことで読者が得られるメリット
- 第二章
- 読者が直面している状況
- 読者の不安や問題点
- 今後ますます必要とされる経営計画
- 経営計画をつくるメリット
- 経営計画を作成するためのツール
- SWOT分析
- PEST分析
- 5フォース分析
- 3C分析
- 4P分析
- 第三章
- 「小規模事業者持続化補助金」とは
- 経営計画の様式
- 「1.企業概要」の書き方
- 「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方
- 「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方
- 「4.経営方針・目標と今後のプラン」の書き方
- 商工会・商工会議所とは何か?
- 商工会・商工会議所との付き合い方
- 採択されたらやるべきこと
- あとがき
執筆方法・文字数・文体・本の体裁
執筆方法
上記の目次案にしたがい、明日から具体的に執筆を始めます。今回は、このホームページ上の記事として執筆を進めます。
文字数・文体・本の体裁
「強み経営シリーズ」第一弾の『採択される補助金申請書の書き方~小さな会社の補助金活用法~』は、約23,000字でした。シリーズ本ですので、この本も同じくらいの分量とします。文体は、「です・ます調」にします。
本の体裁は、前作と同様「縦書き」で出版します。このため、電子製本の際の手間を省くため、「一桁」と「四桁以上」の数字は「全角」で、「二桁」と「三桁」の文字は「半角」で書くことにします。アルファベットは、英単語は「半角」、略語や英文字入りの用語は「全角」とします。なお、これらは「全角」「半角」の確認を確実に行うため文字色を赤にします。
難しい漢字や読みにくい漢字はできるだけ使わないようにします。どうしても使わなければならない場合は、漢字の直後にカッコ書きでルビを付けます。これも電子製本の際の確認のため、赤字とします。
図や表や写真を挿入する場合は、執筆時にjpg形式で用意することにします。
出版時期(原稿締め切り)
出版時期は、12月20日ごろとします。そこで今日から、毎日2,000文字を目標に書き進めます。12月10日には、原稿を完成し、それから編集・校正を行った後、電子製本にかかります。電子製本後最終チェックをして、12月20日までにKDP(kindle direct Publishing)に出版申請を行います。
以上で書き始める前にやっておかなければいけないことが終わりました。それでは、さっそく明日から書き始めましょう。
この記事の内容は、『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画』として、12月20日に出版しました。