第二の電子書籍元年?

電子書籍元年は2010年でした

2010年は「日本における電子書籍元年」といわれています。この年の5月に iPad  が日本で発売となり、わたしもは Apple Store に早朝から並んで手に入れました。このことについては、あなたの電子書籍初体験はいつですか?に書いています。調べてみると、この年は、iPad 以外にも Sony Reader や GALAPAGOS などの電子書籍リーダーといわれる端末が多数発売されました。

しかし、ハードが充実しただけでは電子書籍マーケットは盛り上げりません。なぜなら、電子書籍は普通の本屋さんでは買えないからです。電子書籍を流通させる仕組みが必要です。これはパソコンの初期の頃と似ているかもしれません。

日本のパソコンの歴史をけん引したのは NEC だと思います。その NEC が8ビットマシンPC-8001 を発売したのが1979年、16ビットマシン PC-9801 を発売したのが1982年のことです。当時も今も変わりませんが、パソコンもソフトが無ければただの箱です。そのソフトの流通市場に目をつけて参入したが、ソフトバンクで、1981年のことです。

同じように電子書籍も流通市場が確立しないと立ち上げりません。そこで2010年には、書籍関連企業だけではなく家電メーカーや携帯電話会社なども、電子書籍のプラットフォームを立ち上げています。このようなハード面、ソフト面の環境が整ったのが2010年でした。

電子書籍プラットフォームの決定版とは

電子書籍の成長性を見越して多くの企業がハード、ソフトの両面から、電子書籍市場に参入したのが2010年ですが、市場は思ったほどには立ち上げりませんでした。この頃の市場の動向については、電子書籍の市場規模で振り返っていますが、電子書籍元年といわれた2010年の翌年には、市場はマイナス成長となっています。

こうした市場の停滞感を打破したのが、2012年秋に日本でサービスを開始したAmazon Kindle の日本進出でした。これによって、日本でも個人で電子出版する方が急増しました。インディーズ作家の誕生です。

100万部売ったインディーズ作家

Amazon Kindle が先行しているアメリカでは、インディーズ作家という職業が成り立っています。インディーズ作家として世界で初めて100万部を売るミリオンセラー作家になったのがジョン・ロック氏です。どのようにしてミリオンセラー作家になったのかを彼自身が解説した本が日本語訳されています。

2015年は第二の電子書籍元年か?

2015年は日本の電子書籍市場のターニングポイントになったかも知れません。というのは、「第153回芥川賞受賞作「火花」の電子書籍のダウンロード数が、10万を突破した」と文芸春秋が8月に発表したからです。ジョン・ロック氏の100万には及びませんが、これをきっかけに再び電子書籍への注目が高まっています。

「電子書籍を出版した」とか「電子書籍出版セミナーを開催する」という話を良く耳にするようになりました。わたし自身がエストリビューターとして電子書籍出版サービスを提供しているため、そのような話題に対する感度が高くなっているのかも知れませんが。

何年か先に振り返ったとき、2015年が第二の電子書籍元年になっているかも知れません。

電子書籍で業績を倍増させる会議