ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金について

先週の金曜日、2015年12月18日に平成27年度補正予算案等が閣議決定し、経済産業省関連の予算案等の概要が公表されています。多くの中小企業が利用している人気の補助金が今年度も盛り込まれましたので、少し気が早いですが、それらの補助金について、公表された資料を元に紹介しておきます。

 採択される補助金申請書の書き方(強み経営シリーズ1): 小さな会社の補助金活用法

ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

いわゆる「ものづくり補助金」です。これまで3年度にわたり行われてきましたが、今年度も補正予算で措置されています。予算額は1,020.5億円と大型の補助金です。平成27年度補正予算案では、この補助金は、「総合的なTPP関連政策大綱」関連として、「1. TPP の活用促進 ⇒ (2) 新たな市場開拓、グローバル・バリューチェーン構築支援」のトップ項目として掲載されています。目玉施策といって良いでしょう。

事業目的・概要

国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援榴関と連携して、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投偏等を支援します。

採択される補助金申請書の書き方~小さな会社の補助金活用法~』で書いているのですが、補助金に申請する場合には、事業の目的をしっかり意識することがとても大切です。上記の文章でいうと「国内外のニーズに対応した」という部分です。TPP 関連予算という位置づけから、「国内外」と国外のニーズも視野に入れる必要があります。「TPP 加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目指す取組は加点。」とされています。

ニーズがあることを客観的に示すのは、なかなか難しいです。ここが採択されるひとつのポイントになります。応募しようと検討されている場合は、ニーズの裏付けをどうするか、今から考え始めてください。

条件(対象者、対象行為、補助率等)

・認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者であり、以下のいずれかに取り組むものであること。

1.革新的サービス・ものづくり開発支援

「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善であり、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画であること。または「中小ものづくり高度化法」に基づく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させる計画であること。

2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援

上記1.の革新的なサービス開発・試作品開発・プロセス改善であって、IoT 等を用いた設備投資を行い生産性を向上させ、「投資利益率」5%を達成する計画であること。

「1.革新的サービス・ものづくり開発支援」は、昨年度と同じ内容です。「革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善」ということですので、できれば「経営革新計画」の承認を受けておくことが望ましいです。承認までには数ヶ月かかりますから、応募しようとされる場合は、今すぐ「経営革新計画」の作成に取りかかりましょう。

こちらは、2つの枠があります。ひとつは「一般型」で補助上限額1,000万円、もうひとつは「小規模型」で補助上限額は500万円です。補助率はこれまでと同じく2/3です。小規模事業者が小規模型で応募する際には、若干有利になると思います。小規模型でも上限500万円をもらうためには、750万円以上の投資(設備や人件費)が必要です。資金調達についても、銀行と早い目に相談するなど、動き始めましょう。

「2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援」は、新たに設けられた枠です。「IoT 等を用いた設備投資」が新しい内容となります。「IoT」というのは、モノのインターネット(Internet of Things、IoT)のことです。といっても、まだイメージがわきませんね。「IoT」自体の定義が世間でもまだ定まっていないので、どこまでが対象となるかはあいまいなところがあります。

「新たに航空機部品を作ろうとする中小企業が、既存の職人的技能をデータ化すると共に、データを用いて製造できる装置を配置。」という例が示されています。職人をデータと装置で代替するようなイメージでしょうか。「データ」と「装置」によりサービスやものづくりの生産性を向上させる取り組みと理解しておけば良いでしょう。

このようなアイデアがある方は、その実現向けた計画を作り始めてください。こちらは補助上限額が3,000万円と大型の補助金です。補助率は2/3です。3,000万円ということは、投資額は4,500万円以上ですので、相当な資金力が必要です。

国会の審議を経て、成立後直ちに実施されます。年度内に1次公募が行われますので、この補助金を使用とする方は、今から準備をスタートしましょう。準備のポイントなどは、わたしが書いた『採択される補助金申請書の書き方~小さな会社の補助金活用法~』が参考になると思います。

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