強みをつなぐ事業承継④

← 強みをつなぐ事業承継③

親族内承継における問題

わたしがご相談を受けた事例をみてみましょう。

ケース1 株式の分散問題

社歴数十年の会社で、2代目社長から3代目社長への承継を前にしたご相談でした。3代目となる社長の祖父が創業者、2代目社長が父という典型的な親族内承継です。祖父の代に、従業員に株式を持たせたのですが、それが分散しています。株式の譲渡制限の定めがないので、今後もさらに分散したり、会社にとって不都合な相手に株式がわたるという恐れもあります。そこで、3代目に就任予定の社長が、就任前に株式の譲渡制限の定めをしたいというご相談です。

この場合には、議決権を行使できる株主の半数以上であって当該株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要とされる株主総会の特殊決議が必要です。しかし、社長の身内でようやく過半数の議決権を確保できるものの、3分の2の議決権はありません。買い戻すにしても、無借金経営の優良企業で、株価対策もされていないので、株式の評価額が非常の高く、必要な資金の確保も難しいという状況です。

ケース2 相続に関する問題

こちらは創業社長から娘婿への承継にまつわるご相談です。創業者社長には娘さんが3人いらっしゃいます。3人とも、父の会社で働いておられます。この3人姉妹の次女の配偶者が経営を引き継ぐことになりました。経営権は娘婿に移っています。

創業社長には、会社の土地建物の他、ご自宅などの不動産があり、会社資産は次女に、その他の資産を他の2人の娘に相続させる予定ですが、会社資産の割合が大きいため、相続でもめる可能性がないとはいえません。また、この会社の株式の評価額が高いため、後継者への議決権株式の集中にも時間がかかりそうな状況です。

親族内承継には時間をかけた対応が必要です

親族内承継の場合には、株価の引き下げ対策を行うのが一般的です。ご相談を受けたケースも、もう少し時間をかけて準備を進める必要があったと思います。顧問税理士さんから、的確なアドバイスがなかったというのが社長様のご不満でもありました。

親族内承継の場合には、一般的に優良な企業が多いですから、負債を含む資産の現状把握をした上で、後継者には事業用資産を集中し、非後継者には非事業用資産を相続させることになります。このあたりの実務的な対応については、弁護士・税理士・公認会計士などの専門家のサポートが必要です。

また、親族内承継では、後継者育成も課題となります。親子関係など親族間ならではの人間関係が、後継者教育の妨げになっている場合があります。「親族だから」という配慮が働き過ぎたりして、お互いが腹を割って納得いくまで話し合うという状況になりにくいのです。後継者の経営をサポートし、経営者育成を図るという役割は、わたしのような中小企業診断士が得意とするところです。

顧問税理士任せで大丈夫ですか?

多くの会社では、顧問税理士をお持ちだと思います。その先生が、親族内承継における留意点を、長年しっかりと顧問先社長に指導されていれば良いのですが、ケースでみたように、そうでない場合もあります。そのような場合には、社長が早い目に外部の専門家に相談するという行動をとる必要があります。

わたしが参画している事業承継研究会は、弁護士や公認会計士、司法書士などから構成されており、事業承継に関するあらゆる問題にワンストップで対応可能です。上記ご相談についても、研究会内で対応策を議論し、相談者にアドバイスさせていただきました。

→ 強みをつなぐ事業承継⑤

当社に早い目にご相談ください

当社では、強み経営コンサルティングの一環として、強みをつなぐ事業承継サポートを行っております。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

弁護士、公認会計士、司法書士の先生方と一緒に事業承継の全体像をコンパクトにまとめた『経営者必読! 事業承継の全体像を一気読み: 多様な専門家がポイントを網羅的に解説!』をAmazonのKindleストアで出版しています。よろしかったら、参考にしてください。

経営者必読!事業承継の全体像を一気読み