小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金の公募が2月26日から始まっています。この補助金は、小規模事業者(従業員数が製造業等20人以下、卸・小売・サービス業5人以下)が商工会・商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿った販路開拓や販路開拓の取り組みに付随して行われる業務効率化(生産性向上)に取り組む費用の2/3、上限額50万円(一定の条件を満たす取り組みの場合には上限100万円)を補助するものです。平成25年度補正事業、平成26年度補正事業でも実施され、今回が3度目の実施です。
小規模事業者持続化補助金の特徴
この補助金の一番の特徴は、「商工会・商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成」するところにあります。なぜこのような制度設計になっているのでしょうか。それは、「人口が減少し、顧客獲得のための販路開拓が極めて重要な経営課題となる中、販路開拓の精度を高めるためにも、自らの事業を足元から見直し、経営の方向性を定めるための経営計画づくりが必要となってきている。(『小規模企業白書(2015年版』)」からです。
ただ「経営計画づくりが必要ですよ」といっても、経営者には通じません。わたしもそうですが、自分の「得」になることでしか人は動かないものです。そこで、「経営計画に基づき販路開拓に取り組めばお金をあげます」という補助金を実施したのではないでしょうか。この補助金は販路開拓の経費を幅広く補助してくれると大人気となり、応募するために多くの小さな会社が経営計画を作成しました。狙いは見事的中したのです。
「小規模事業者持続化補助金」が2013年度補正予算において措置された。(中略)同補助金では、経営計画の作成を要件としているが、経営計画が採択された小規模事業者に聞いたところ、約6割が同補助金の活用をきっかけにはじめて経営計画を作成したと回答している。(『小規模企業白書(2015年版』)
商工会・商工会議所の助言
もうひとつの大きな特徴は、商工会・商工会議所の助言を受けることが必要だということです。商工会、商工会議所といってもピンとこない方や「両者は同じ」と思っている方も多いです。地域中小企業者からみた機能的には「同じ」といってもあながち間違いではありませんが、法律上は明確に区別されています。ご参考までに、Wikipediaその他を参照して比較表をつくりました。
細かな違いはあるとしても、地域の小規模事業者の相談に応じてくれる組織です。なお、商工会議所・商工会の会員でなくても、相談を受けることができますし、本補助金の要件となっている経営計画作成の助言も受けられます。
項目 | 商工会議所 | 商工会 |
---|---|---|
根拠法 | 商工会議所法(昭和28年法律第143号) | 商工会法(昭和35年法律第89号) |
管轄官庁 | 経済産業省経済産業政策局 | 経済産業省中小企業庁 |
設置地区 | 市の区域(特別区を含む) | 主に町村の区域であるが、町村合併により市域の設置も多い。 |
上部組織 | 日本商工会議所 | 全国商工会連合会、都道府県商工会連合会 |
会員に占める小規模事業者の割合 | 約8割 | 9割を超える |
事業 | 地域の総合経済団体として中小企業支援事業の他、原産地証明等国際的業務 | 中小企業施策、特に小規模事業施策に重点を置いており、事業の中心は経営改善普及事業 |
組織の意思決定 | 選挙で選任された議員による議員総会で決定、議員選挙は会費1口当たり1票 | 全ての会員に参加する権利がある総会で意思決定、1会員1票 |
設立要件 | 地区内の特定商工業者の過半数が同意(会員要件なし)、経済的基礎・施設・職員を有すること | 地区内の商工業者の2分の1以上が会員となること |
設置数 | 514(平成27年現在) | 1,667(平成27年4月現在) ※市にある商工会804 |
会員数 | 125万(平成27年3月現在) | 100万(平成27年4月現在) |
「補助金活用法」と「自分で書ける経営計画」
あなたが過去に「小規模事業者持続化補助金」に応募したことがなければ、宣伝めいて恐縮ですが、ぜひわたしが書いた『採択される補助金申請書の書き方(強み経営シリーズ1): 小さな会社の補助金活用法 』と『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画』をお読みください。
『自分で書ける』は「小規模事業者持続化補助金」の経営計画のフォーマットを使って、経営計画のつくり方をご説明していますので、参考になると思います。