経営計画をつくるメリット

この記事は、「強み経営シリーズ」第二弾『小さな会社の経営計画』として出版することを前提に書いています。この経緯については

次の著作の執筆を開始します
書籍を執筆する前に決めておくべきこと

をお読みください。

経営計画をつくるメリット

明治時代のお話。青森県の八甲田における雪中行軍演習中に遭難し、210名中199名が死亡するという大事故が起こりました。この史実に基づいて小説『八甲田山死の彷徨』が出版され、それを映画化した『八甲田山』が大ヒットしました。

さて、ところ変わって、こちらはヨーロッパアルプス山中のお話。組織における意思決定や経営戦略に関する書物でよく引用される有名なエピソードです。こちらは冬のアルプスで遭難するのですが、奇跡的に生還したという話です。少し長いですが、引用してご紹介します。

それはスイスでの軍事機動演習のときに起こった。ハンガリー軍の小隊の若い中尉は、アルプス山脈で偵察隊を凍てつく荒野へ送りだした。その直後に雪が降り始めた。降雪は2日間続いた。その間、偵察隊は戻ってこなかった。中尉は、部下を死地に追いやったのではないかと思い悩んだ。しかし3日目にその部隊は戻ってきた。彼らはどこに行っていたのか? どうやって道をみつけたのだろうか。彼らがいうには、「われわれは迷ったとわかって、もうこれで終わりかと思いました。そのとき隊員の一人がポケットに地図を見つけました。おかげで冷静になれました。われわれは野営し、吹雪をやり過ごしました。それからその地図で帰り道を見つけ出しました。それでここに着いたわけです」。中尉は,この命の恩人となった地図を手にとってじっくりとながめた。驚いたことに、その地図はアルプスの地図ではなく、ピレネーの地図であった。(出所:カール・E・ワイク『センスメーキング イン オーガニゼーションズ』)

この本の著者のワイクは、エピソードを紹介した後、たとえ間違った地図であっても、それにより自分たちがどこにいて、どこにいきつつあるかについてイメージを持つことができ、それが幸運な生還につながったと説明しています。

あなたの会社経営における経営計画をこの地図にたとえることができます。つまり、たとえ間違った計画であっとしても、自分たちがどこにいて、どこに行きつつあるかを確信して行動すれば、幸運な結果が実現する可能性が高まるということです。

では、実際に経営計画を作成した小さな会社の経営者は、その効果についてどのように評価しているのでしょうか。小規模事業者持続化補助金に採択された5,266社に経営計画の効果を尋ねてみた結果は次のとおりです。

  • Ÿ   他の補助金の活用にも関心を持った(51.7%)
  • Ÿ   自社の強み・弱みか明らかになった(50.8%)
  • Ÿ   新たな事業を企画できた(50.3%)
  • Ÿ   事業の見直しを行うきっかけとなった(43.3%)
  • Ÿ   自社の事業に優先順位をつけられた(31.3%)

このように小さな会社の経営者は、経営計画を作成することで、さまざまな効果が得られると回答しています。

もしあなたが、「自社の強みや弱みがわからない」とか「新たな事業を企画したい」とか「事業を見直したい」とか「何から手を付けたらよいかわからない」というような悩みがあるのであれば、経営計画を作成することで、それらの悩みを解決できる可能性が大いにあります。

この記事の内容は、『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画』として、12月20日に出版しました。

自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画