今後ますます必要とされる経営計画

この記事は、「強み経営シリーズ」第二弾『小さな会社の経営計画』として出版することを前提に書いています。この経緯については

次の著作の執筆を開始します
書籍を執筆する前に決めておくべきこと

をお読みください。

今後ますます必要とされる経営計画

小さな会社に限らず、これまで経営計画をつくったことがないという会社がほとんどだと思います。それでもこれまでは何とかやってこられました。それは、比較的先が見える状況だったからです。「先が見える」とは、これまでの延長上に未来があったということです。

しかし、本当はもうかなり以前から、未来は現在の延長上にはない状況だったのです。そしてそのことが誰の目にも明らかになってきたのです。具体的には、人口減少、高齢化、海外との競争の激化、地域経済の低迷といった外部環境の変化に伴う売上げ減少です。

2014年6月に「小規模企業振興基本法(小規模基本法)」が成立しました。この法律では、小さな会社の役割・課題・対応策を次のように捉えています。

小さな会社の役割・課題・対応策

「顧客のニーズに応じた財・サービスの提供」が小さな会社の役割であり、需要が変化したり、減少したりという問題に直面しているので、「顔の見える信頼関係」という小さな会社の「強み」をより積極的に活用して、潜在的な需要を掘り起こすためにビジネスモデルを再構築する必要があると分析しています。ここには、小さな会社のこれからの経営のポイントが明確に示されています。それは、

① 顧客のニーズに応じた財・サービスの提供ができているか。
② 需要が変化したり減少したりしていないか。
③ 潜在的な需要を掘り起こすためにビジネスモデルをどのように再構築したらよいか。

の3つです。ビジネスモデルとは、「だれに(顧客)、何を(製品/サービス)、どのように(提供方法=価格、販路、広告宣伝)」というビジネスのあり方のことです。そして、①から③を考えるために、「経営計画」の作成が重要であると国は考えています。『小規模企業白書』には、次のように書いてあります。

「小規模事業者持続化補助金」が2013年度補正予算において措置された。(中略)同補助金では、経営計画の作成を要件としているが、経営計画が採択された小規模事業者に聞いたところ、約6割が同補助金の活用をきっかけにはじめて経営計画を作成したと回答している。(中略)人口が減少し、顧客獲得のための販路開拓が極めて重要な経営課題となる中、販路開拓の精度を高めるためにも、自らの事業を足元から見直し、経営の方向性を定めるための経営計画づくりが必要となってきている。(『小規模企業白書(2015年版』)

このように、外部環境の変化に対応して新たな販路を開拓する必要があり、その取り組みを成功させるために経営計画が必要と説明します。自社の経営の方向性を経営計画で説明できることが小さな会社の経営者にも今後は求められます。「小規模事業者持続化補助金」がその第一歩です。

小規模企業振興基本法では、小規模事業者の「事業の持続的な発展」を促すこととなっています。「小規模事業者持続化補助金」はそれを具体化する取り組みのひとつと位置づけられています。今後もいろいろな取り組みが実施されると思いますが、その恩恵を受ける前提が「経営計画」になります。

これまでは、小さな会社の多くが経営計画なしで経営してこられました。しかし、2年度にわり実施された持続化補助金により、多くの小さな会社が経営計画を作成しました。これにより、経営者自らが経営計画を作成した経験があるかないかが、今後は大きな差となって現れてくることが予想されます。

「なくて当たり前」だった経営計画が、これからは「あって当たり前」になっていくことでしょう。あなたも本書を読んで、経営計画を自分でつくれるようになってください。

この記事の内容は、『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画』として、12月20日に出版しました。

自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画