この記事は、強み経営シリーズの第3作として出版することを前提に書いています。
損益計算書は、どう見るのですか?
損益計算書の簡単な見本を示します。これは法人の場合ですが、個人事業であっても同じです。一番上が「売上高」で、そこからいろいろな費用を引いて、「営業利益」を求めます。さらに利息の支払い(「営業外費用」)などを差し引いた残りが「税引前当期純利益」です。少し細かな話になりますが、「法人税等」は「税引前当期純利益」に税率をかけてを算出するのではありません。「法人税等」は「課税所得」に税率をかけて求めます。いろいろな理由から、会計上の利益と税法上の所得は一致しません。法人で申告されている場合は、確定申告書の「別表4」で所得を計算していますので、ご確認ください。
なお、見本のように「経常利益」が「マイナス」になっている場合には、「経常損失」ということになります。毎期毎期黒字で利益を出したいのは、経営者であれば皆同じでしょう。しかし、経営努力が実を結ばずに赤字決算となってしまうことも時にはあります。経営成績は、「利益」ときどき「損失」ということで、経営成績を表す書類を「損益計算書」といいます。利益はprofit、損失はlossですので、「損益計算書」のことをP/L と呼ぶこともあります。こちらも覚えておきましょう。
次の図をみてください。損益計算書には、上から順に「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益が示されています。ここでは、上から3番目までの「売上総利益」「営業利益」「経常利益」の意味に触れておきましょう。
売上高から売上原価を引いた残りが「売上総利益」です。ふつう「粗利益」や「粗利」と呼んでいるものです。売上高に対して売上総利益がどの程度獲得できているか、これを「売上高総利益率(粗利益率、粗利率)」といいます。これは、あなたが提供している製品・商品・サービスなどの競争力の強さを表します。どこにでもあるような商品を仕入れて販売していれば、価格競争にさらされて、利益率は低くなります。逆にあなたの会社でしか売っていない人気商品であれば、利益率は高くなるでしょう。
「売上総利益」から広告宣伝費や地代・家賃、役員報酬や人件費、旅費交通費などを差し引いた残りが、「営業利益」です。これが本業の儲けです。「営業利益」が赤字ということになると、キャッシュが足りなくなりますので、急いで経営改善することが必要です。
「営業利益」に受取利息や配当金を加えて、支払利息を引くと「経常利益」になります。通常の経営活動に基づく利益です。借入金が過大だと支払利息が多くなり、「営業利益」は黒字でも「経常利益」が赤字になりがちです。見本で示した「損益計算書」もそのような状況ですね。