前回は、事業者の規模を問わず、すべての事業者がマイナンバー制度の適用対象になることを説明しました。
小さな会社でも個人番号を対応が必要
小さな会社では、どのような場合に個人番号を取り扱うことになるのでしょうか?
「事業者が従業員等から個人番号の提供を受けて、これを給与所得の源泉徴収票、給与支払報告書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の必要な書類に記載して、税務署長、市区町村長、日本年金機構等へ提出する」場合が該当します。
ほとんどの会社は、社員さんやパートさんに給与を支払っていると思います。
その場合、源泉徴収票、給与支払報告書に社員さんやパートさんの個人番号を記載することになります。
また、税理士さんに顧問料を支払っている場合、支払調書に税理士さんの個人番号を記載することになります。
そのため、社員さんやパートさん、あるいは税理士さんから、あらかじめ本人の個人番号の提供を受けておく必要があります。
こうした個人番号を取り扱う業務のことを、個人番号関係事務といいます。
つまり、社員さんやパートさんを雇っているすべての事業者が個人番号関係事務を行うこととなります。
小さな会社も個人番号関係事務を行わざるを得ないのです。
個人番号関係事務に課せられる重い義務
小さな会社は、「小さな」という言葉通り、少人数で運営されています。
日常の業務やそれに関連する事務処理だけでも、少人数でこなすのは大変。
そういった会社が多いと思います。
そこへ、2015年の年末以降に「個人番号関係事務」が新たに加わってきます。
この「個人番号関係事務」には、企業規模に関係なく、次の義務が課せられます。
ここでは、次の3つの観点から確認しましょう。
- 個人番号の利用制限
- 個人番号の安全管理
- 個人番号の提供制限
個人番号の利用制限
個人番号は、番号法により利用目的が限定的に定められています。
企業では、源泉徴収票及び社会保障の手続書類に従業者等の個人番号を記載して行政機関や健康保険組合などに提出する場合(上記、個人番号関係事務)以外では、利用できません。
たとえば、個人番号を使って社員を管理すれば義務違反になります。
社員管理は、個人番号関係事務ではないので、その目的では利用できません。
やっかいなのは、個人情報保護法との違いです。
個人情報保護法では、本人が同意すれば、どのような利用目的でも個人情報を利用できます。
そこで、「社員管理のために個人番号を使う」という利用目的に対して、社員の同意をとればいいだろう、と考える社長様もいらっしゃるかもしれません。
でも、これは、アウトです。
本人の同意があったとしても、個人番号関係事務以外では利用してはいけません。