私は平成19年度から、おおさか地域創造ファンド 豊能地域支援事業助成金 を担当する豊能地域活性化コーディネーターを務めております。
この事業では、毎年1回、地域資源を活用した新たな取り組み(新製品や新サービスの開発など)を公募・選定しています。選定された事業について、試作品開発費や販路開拓費等を助成金で支援しています。
ちなみに、豊能地域とは大阪府の豊中市・池田市・箕面市・豊能郡豊能町、豊能郡能勢町のエリアを指しています。
平成24年度までの6年間に、豊能地域では25企業の27事業を助成しました。
この助成金には、?最長3年、事業化(継続的に収益を生み出す状態)まで継続して支援する ?地域活性化コーディネーターや地域商工会議所・商工会がハンズオン支援する、という大きな特徴があります。
ですから、採択した企業の社長様とは長いお付き合いをさせていただいております。企業規模は、当地域では比較的ちいさな企業が多いです。
ちょっと話が脱線しますが、「ちいさな企業」について触れておきます。ここでいう「ちいさな企業」とは、小規模企業者のことをさしています。将来的には定義が見直される可能性が高いですが、現状での小規模企業者とは次の要件を満たす企業のことです。
[table “9” not found /]従業員基準で区分しています。気になるのは、従業員にパートやアルバイトの方が含まれるかどうかですが、中小企業庁のホームページでは次のように説明しています。
中小企業の従業員基準の考え方は、「解雇の予告を必要とする者」を従業員として考えます。このため、正社員に準じた労働形態である場合には従業員として扱います。
取扱としては、労働基準法第20条の「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員として考えます。(出所:FAQ「中小企業の定義について」)
したがって、パートやアルバイトの方でも、次の条件に該当しない方は、従業員数に含まれます。
- 日雇労働者(1ヶ月を超えて引き続き使用された場合を除く)
- 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用された場合を除く)
- 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用された場合を除く)
- 試用期間中の者(14日間を超えて引き続き使用された場合を除く)
ですから、常時雇用しているパートやアルバイトも含めた人数と考えてください。商業やサービス業で5人以下というと、かなり小規模、いわゆる家族経営のような会社ですね。
「ちいさな企業」については、経済産業省の「ちいさな企業未来部会」で議論されており、公表されている「“ちいさな企業”未来部会取りまとめ(案)」では、
小規模企業者の定義の精緻化・強化を図る観点から、中小企業者の定義 と同様、小規模企業者を支援対象とする個別法において政令委任規定を設け、小 規模企業の業種毎のきめ細かなニーズに柔軟に対応して従業員区分を拡大できる、弾力的な仕組みとすることが適切である。(出所:「“ちいさな企業”未来部会取りまとめ(案)」)
となっていますから、上記の現「小規模企業者」の定義より、より細かく区分され、また従業員数はもう少し拡大されることになるでしょう。
さて、補助金活用の話に戻りましょう。
豊能地域支援事業助成金で平成19年から平成24年までの6年間に採択した企業25社のうち、小規模企業者に該当するのは、15社あります。半分以上が「ちいさな企業」です。
豊能地域活性化コーディネーターとして、こうしたちいさな企業が新規事業立ち上げたり、補助金を活用したりする状況を長年間近に見てきました。補助金を得ることで成長のきっかけとなった事業もあれば、残念ながら最終的にうまくいかなかった事業もあります。
こうした成功事例や失敗事例をベースに、ちいさな企業の補助金活用法というテーマで、何回かお話ししようと思います。