補助金活用で失敗するケース
前回は、キャッシュがない場合を考えました。キャッシュがないとビジネスは厳しいですね。補助金活用を考えるまえに、キャッシュを残す方策を今すぐ検討しましょう。
→ キャッシュがない
2)補助対象外の費用に注意
これも初歩的な話ですが、社長様と対立が生まれるケースがあります。
補助金によって、どのような費用が補助の対象となるかは異なります。補助の対象となる費用を「補助対象経費」と呼んだりします。つまり補助金制度毎に、補助対象経費が違っているわけです。
補助金に応募しようと考えたら、まずどのような費用に対して補助金が受けられるのか、このチェックは欠かせません。
おおさか地域創造ファンドの場合には、「人件費」は残念ながら助成対象外です。ですから、サービス業など人件費の占める割合が大きいようなビジネスで応募される場合、たとえば、新しいサービスを開発するために、テスト的なサービス提供をすることを考えたとしましょう。
もの作りでいえば「試作」にあたります。もの作りの場合は、試作のためにかかった材料費や、外注加工費などの費用が助成対象となります。もちろんこの場合でも、自社内で試作をつくった場合の社員の人件費は対象とはなりません。
でも、材料費や外注加工費など費用がかさむ場合は、これらの半分でも助成が受けられればメリットは大きいです。
でも、サービスの試作提供の場合には、人件費のウェートが高いですから、これを助成して欲しいという声は大きいです。といって、人件費を助成対象経費として認めることは、おおさか地域創造ファンドでは将来的にもないかな、と思います。
研究・開発を対象とする補助金の場合は、補助事業に従事する研究者の人件費が補助対象になったりしています。しかし、この場合でも、どのような業務に何時間従事したかという「エビデンス」をしっかり残す必要があります。
ちいさな企業では、こうしたエビデンスの整備がなかなかできず、証拠がないばっかりに補助対象経費として認めるわけにいかないケースも多いです。
「人件費は対象となりません」と助成金募集要項に明示していますから、これに関する苦情は少ないのですが、「パンフレット制作費」や「ホームページ制作費」となると、助成対象となるかならないかで意見が対立します。
公的な助成金ですから、助成対象経費は明確に定められています。おおさか地域創造ファンドの場合には、販路開拓費も幅広く対象となりますので、上記のような「パンフレット制作費」や「ホームページ制作費」も対象です。
しかし、です。補助金をもらう側からすれば、たくさん欲しいし、いろいろなものを対象として欲しい。当たり前です。一方、私たち補助金を担当する側からは、補助金の原資が税金等なのですから、厳正な運用が求められています。これも、当然です。
具体的にお話ししましょう。
ある経費が補助対象経費と認められるには、いくつかの要件があります。その一番の要件は、「応募した事業に直接関係する経費であること」です。
その企業そのものを支援する目的の補助金では、これはあまり問題になりませんが、おおさか地域創造ファンドの助成金のように「新たな事業」を対象とする場合は、企業にとってはこれが制約になります。
「会社のホームページの制作費用」は、「新たな事業」のための費用とはいえないので、助成対象経費として認めていません。もちろん「新た事業専用のホームページの制作費」であれば、OKですよ。
このあたりを意識せずに、先に経費を使って、後でそれが助成対象経費とならないとわかって、いろいろ文句を言われる場合があります。
ちいさな企業の社長様は、何から何まで一人でこなさないといけない状況ですから、そんな細かなところまで気配り出来ない。結果として、「使いにくい助成金」「使えない助成金」とおっしゃる方もありますが、助成金の主旨がありますので、柔軟にも対応出来ません。
補助金に応募しようとする場合、どのような経費が補助対象となるのか事前によく調べたり質問したりしましょう。また、幸運にも補助金を受けられる場合は、使った費用がしっかり補助されるように、エビデンスを整備しましょう。
このエビデンスの整備もちいさな企業では負担となることが多いですが、お金をもらうわけですから、義務としてしっかりやる必要があります。