ちいさな企業が新しい事業に取り組む際に、補助金をどのように活用したらよいかについて、何回かに分けて書いてきました。これまでは、補助金を上手に活用できないよくあるケースとして、次の3つを紹介しました。
最後の「知らない分野や市場にチャレンジする」というのは、経営革新計画の策定や第二創業といわれる新規事業立ち上げなどで多く見られるケースです。
新しい事業に挑戦するということの背景には、既存事業の頭打ちや衰退という現状を踏まえてのことが多いですから、新しい分野や市場に進出するのが当然といえば当然かも知れません。
しかし、なかなかうまくいかない。時間がかかる。結果として、会社を傾かせることも多い。このことをしっかり認識して、少ない投資で実験的に進めるような取り組みが不可欠です。
このノウハウについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
さて、補助金を活用して会社を大きく成長させたケースを考えみましょう。
次の図をご覧ください。この図は、ある会社が新規事業に取り組んだ際の「強み」を示した図です。
活用出来る資源としての「おいしい水」と「泡の技術」。しかも、「炭酸の泡にこだわりました」ならキャッチコピーとしてありがちですが、この会社は「炭酸飲料」「炭酸飲料水」という名称で二つの特許出願を行っています。
ここが一つのポイントです。
公募補助金は、応募事業から何社かを選んで補助します。補助金の主旨によって、選考基準は異なりますが、新規事業を支援するタイプの補助金では、その事業の新規性が選定基準になっていたりします。
そうでなくても、自らの取り組みの新しさの客観的な証明として「特許出願」は、有効です。「特許取得」がベストですが、「特許出願」でも大きなアドバンテージとなります。
決して意味のない出願を勧めるわけではないのですが、弁理士さんに「特許出願可能」といわれるくらいまで、技術なりアイデアなりノウハウなりを磨くこと、これが新規事業の競争優位性の源泉になります。
この会社は、もともと炭酸水を自社商品として供給していましたから、既存技術を深掘りした新規事業に取り組んだといえます。
既存商品はこれです。
こだわりの炭酸技術が、有名バーテンダーさんにも高い評価を受けたり、大手飲料メーカーさんが仕掛けたハイボールブームが追い風になったりして、この商品も大ヒットしています。
しかし、補助金で応援した商品開発は、この商品ではありません。このお話しはまた明日。