「羊頭狗肉」という言葉がありますが、「補助金活用法」というタイトルなのに、だんだん内容がずれてきていますね。
平成24年度の補正予算あるいは平成25年度予算において、相当額の補助金予算が組まれています。今後順次公募が始まっていくと思われます。「補助金を活用したい」と期待されている経営者も多いことでしょう。
それに水をさすわけではありませんが、新規事業開発に対する補助金事業に長年たずさわっている経験から、「ちいさな企業の補助金活用は、意外と難しい」という問題意識があります。
この問題意識が、「ちいさな企業の補助金活用法」というこの一連の記事のベースです。
難しい要因として、「取り組もうとする新規事業そのものに内在する難しさ」と「補助金ならではの事務処理の難しさ」の二つの側面があります。
後者については、補助金が一般的に先払いの精算払いであること → ちいさな企業の補助金活用法(2) 、補助対象経費の制約が大きいこと → ちいさな企業の補助金活用法(3) 、で説明しています。
一方、前者については、新規事業といえども、既存の技術・ノウハウを深掘りして、既知の市場を攻めるのが最も成功確率が高いこと → ちいさな企業の補助金活用法(4)、で説明しました。
ですから、「補助金活用法」というノウハウに関しては、(2)?(4)に書いていますので、そちらをお読みください。
前回の(5)から、、既存の技術・ノウハウを深掘りして、既知の市場を攻めて成功した事例を紹介しています。
ここまでが、これまでの振り返りです。
さて、本題に入りましょう。補助金を上手に活用した事例紹介の続きです。これは、ある会社が次図の二重丸ゾーンでの新規事業に取り組んだ事例です。
この会社は、大阪府能勢町で創業300年の能勢酒造さんです。
今から6年前の2007年当時、自社の敷地から湧き出る美味しい水を使った炭酸水を製造し、近畿圏の酒販卸を通じて主に業務用として 販売していました。この商品をベースとして、その頃ブームになりつつあった地サイダーの開発に取りかかりました。
そして、この新規事業で大阪府の経営革新計画の承認を受けています。丁度この年に、おおさか地域創造ファンドの助成金制度がスタート。応募17社から4社採択されましたが、その4社の内の1社です。
4倍を超す高い競争率を勝ち抜けた理由は、?自社の技術を磨き「特許申請」を行っていること → ちいさな企業の補助金活用法(5)、?応募した新規事業で経営革新計画の承認を受けていること、などがあげられると思います。
助成金で事業化を応援した能勢酒造さんの「桜川サイダー」です。このサイダーは、今や大阪を代表する商品に育っています。
おおさか地域創造ファンド助成金は、最長3年度支援します。能勢酒造さんも、サイダー事業において、試作・改良から商品化、販路開拓、地域のおけるブランド化まで、3年間助成金を有効に活用いただきました。
補助金制度はそれぞれにミッションを持っています。税金を原資とする公的な補助金に応募される場合は、この補助金のミッションを十分理解しておくことも大切なポイントです。
能勢酒造さんのサイダー事業の躍進は、補助金のミッションを十分理解し、それに沿った活用を行ったことにあります。
これについては、また次回お話ししましょう。