新たにビジネスを起こすことを、「創業」とか「起業」とか、あるいは、少しかっこよく「ベンチャー」とか「スタートアップ」とか、いろいろ表現されています。
人間のライフサイクルに例えると、「胎児」から「新生児」、さらに、「よちよち歩きの幼子」というイメージでしょうか。なので、ビジネスという弱肉強食の世界にいきなり放り込まれると、生存するのはかなり厳しい。そこで、「創業支援」が必要にいわれます。
これからビジネスをスタートしようという方を対象に、ビジネスのイロハから、手取り足取りサポートするということです。「手取り足取り」ですから、ハンズオン支援といいます。
でも、このハンズオン支援、スタートアップにだけ必要というわけではありません。
たとえば、私は地域活性化コーディネーターという役割で、「おおさか地域創造ファンド 地域支援事業 助成金」を担当しています。今、多くの方が注目している新たな取り組みに対する「補助金」の先駆けのようなものです。
ただ、この助成金には大きな特徴が一つあります。
それは、この助成金にはハンズオン支援が組み込まれているという点です。
なに?それ??
何のこと?
ご説明しましょう。
補助金について書いた記事が、検索結果の上位に表示されているようです。たとえば、「ものづくり補助金 書き方」で検索すると、今のところ1位表示されます。
そこで、このサイトにも多くの方がお越しいただいているようです。ありがとうございます。
さて、「ものづくり補助金 書き方」で検索される方は、どのような方でしょうか。
これまで補助金等を活用したことがなく、補助金に初めて申請されようとしている方ではないでしょうか。
補助金を活用した経験がある方ならおわかりだと思いますが、申請までより申請後のいろいろな書類の整備の方が、大変ということが多いです。
「申請書類が煩雑だ」という事業者からのクレーム(?)に応えてかどうかわかりませんが、申請書類のフォーマットのページ数が非常に少なくなっています。様式上は、わずか数ページですね。
負担が軽くなるというのはいいことだと思います。
ところが、補助金に採択された後、実際に補助対象経費を使い、その経費に対して補助金を請求する段になると、様相は一変します。
設備を買うとしましょう。
まず、金額にもよりますが、一般的には相見積もりが必要です。相見積もりをとらずに、発注した場合は、なぜその会社に発注したのか、第三者に説明するための「選定理由書」を書く必要があります。
次に発注です。
通常の取引であれば、電話で「注文します」といえば、OKの取引先に対しても、助成対象経費とする場合は、そうはいきません。
いつ発注したのかを明確にするために、「発注書」が必要です。その日付も重要。補助金の交付決定日以前の日付では、その経費自体が補助対象とはなりません。
日付がはっきりしないと、「交付決定日以前の発注でない」ことを示せませんから、これも補助対象経費となりません。
ですから、発注した日付が明確にわかる「発注書」が必要とされます。
次に、納品です。
機械が納品されたら、検品をした、不備がないか確認した上で、「受領書」に受領印を押しますよね。この日付を明らかにする必要があります。
補助対象経費と認められるためには、たとえば、納品書に受領日と誰が検品したのか記録しておく必要があります。
これで、やっと請求書にたどり着きます。
後は支払うだけ。
でも、ここでも大きな落とし穴があります。致命的となる場合も多いです。
まず、手形や小切手での支払いは、認められない場合が多いです。
いつもの取引でそうしているからと、手形で支払った場合、その経費は、補助対象となりません。手形を切るぐらいですから、数百万円とかいう場合でしょうね。
「補助金は出せません。」
というつれない結果になります。ご用心。
また、振込料金は補助対象経費とならない場合が多いです。
つまり、100万円を支払う場合、100万円の中に振込手数料を込みで支払うと、補助対象経費は、100万円から振込手数料を差し引いた金額となります。
ですから、100万円を助成対象経費にしたい場合は、振込手数料は自社負担としなければなりません。
日頃から振込手数料を相手先負担にされている会社だと、違和感をもたれますが、補助金の要項に明示されているはずですので、ご確認ください。
この振込手数料、件数が多くなると馬鹿になりません。そこで、振込手数料を少しでも安くしようと、ネットで振り込まれる場合が最近多いです。
でも、ここでも慎重に対応する必要があります。
ネット振込の場合は、振込直後しか、振込の明細を印刷できません。しかし、「後で通帳を見ればわかる」と考えて、振込明細を印刷していないと、助成対象経費の検査の際に「振込明細を見せてください」となって、慌てることになります。
銀行の窓口に出向いて、「振込明細」を発行してもらう必要があるかもしれません。
最悪のパターンは、ネット銀行の口座が法人口座でなく、社長様の個人名義の口座になっている場合です。
日頃から会社宛の請求について、社長様個人名義の口座から振り込んでいるような場合は、よほど注意しないと、通常の取引と同じように個人名義で振り込んでしまいがちです。
この場合は、エビデンス上は、会社から支払われていない訳ですから、助成対象経費と認められません。
支払いのエビデンスが最も簡単な「物品購入」の場合ですら、このように留意しておくべきポイントがたくさんあります。
もちろん、こうしたことは、採択事業者向けの説明会で詳細に説明されるはずですが、補助金の経験がないと、説明を聞いてもイメージできない場合が多いようです。
さて、本題はここから。
「おおさか地域創造ファンド 地域支援事業 助成金」では、こうした細々した事務処理に関する注意点などについて、定期的に会社に訪問して、書類をチェックして、不備があれば修正するようアドバイスしています。
また、事業は計画通りにはなかなか進まないものです。
当初想定していなかったような事態に遭遇することも多いです。そんな時、私たち専門家からその都度適切なアドバイスを受けられます。
しかも、これらはすべて「おおさか地域創造ファンド 地域支援事業 助成金」という制度の中に組み込まれているので、費用はかかりません。
これが「おおさか地域創造ファンド 地域支援事業 助成金」の特徴であるハンズオン支援です。
「定期的に訪問してもらうので、怠けるわけにもいかず、自分にむち打ってがんばった結果、当初の想定以上の成果がでました」
という感謝の声が多いのは、このハンズオン支援に対してです。
「助成金というお金よりも、ハンズオン支援の方がずっとありがたい」という声を多く聞きます。
今、多くの補助金が公募されていますが、ハンズオン支援が制度として組み込まれている例は、「おおさか地域創造ファンド 地域支援事業 助成金」以外には、あまり見受けられないように思います。
長年「おおさか地域創造ファンド 地域支援事業 助成金」を担当し、ハンズオン支援の有効性を身にしみて感じていますので、補助金を初めて活用されようという方は、ハンズオン支援してくれる専門家を必ず身近に置かれることを強くおすすめします。