資本性ローンを利用するには、この特例制度が求める要件を満たすことはもちろんですが、「客観的に実現可能性が高い」と認められる事業計画書の作成が必要です。そして、実現可能性が高い事業計画書をつくるには、前提となるインプット情報が正確でなければなりません。
マーケット(お客様)の情報など、外部情報の正確さももちろん重要ですが、外部情報を収集するにはコストと時間がかかり、しかも、データ量にも精度にも制約があります。
一方、会社の経営の現状も重要なインプット情報です。そして、これは会社内部の情報ですから、必要な情報を速く正確に把握できることが必要です。
そのベースとなるのが、決算書に代表される会社の財務諸表(損益計算書や貸借対照表など)です。これが正確でなければ、それをベースとして作られる事業計画書の数値もあやふやなものになってしまいます。
このために、会社の会計を正確に行いましょうというのが、前回のご提案でした。
では、会社の会計を正しく行うにはどうしたらよいのでしょうか。
そこで、中小企業向け会計ルールの出番となります。
これらが制定されてきた経緯はここでは触れずに、ルールそのものについてご説明します。
現在、中小企業向け会計ルールには、次の二つがあります。
- 中小企業の会計に関する基本要領 (中小会計要領)
- 中小企業の会計に関する指針 (中小指針)
これらの主な相違点は次表の通りです。
[table “10” not found /]この表をみると、?中小会計要領の方がより簡便な会計処理になっていますので、「ちいさな企業」も含むあらゆる企業が最低限従うべき会計ルールということになるでしょう。そして、会計参与を設定しているレベルの会社であれば、中小指針にも従う必要がある。このように捉えれば良いと思います。
中小企業庁のホームページでは、中小会計要領について、
「中小会計要領」とは、中小企業の実態に即してつくられた新たな会計ルールです。
と紹介しています。またこのルールが想定している中小企業の経営実態については、
- 経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない
- 会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている
- 主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い
というような状況にある中小企業を前提にしているそうです。
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