電子書籍の市場規模 

先日出版した『採択される補助金申請書の書き方~小さな会社の補助金活用法~』の中で次のように書いています。

高齢者をターゲットとするビジネスの場合には、「少子高齢化により市場が拡大する」という表現がよく使われます。しかし、これではとても抽象的で、高い評価は得られません。成長性については、ターゲット人口、市場売上高などの市場規模、年○%増という成長率など、できるだけ数値を用いて具体的に書きましょう。

この記事は、補助金に採択されるために書いているのではありませんが、あなたに「ビジネス電子出版しませんか」とエストリビューターとしてお誘いしています。ビジネス電子出版というのは、企業オーナーや自営業の方、弁護士や税理士、司法書士や行政書士などの士業の方が本業の業績をアップさせる目的で電子書籍を出版することです。

ビジネス電子出版することにはたくさんのメリットがあり、費用がかかるにせよ、それはビジネスにおける有効な投資ですよ、と繰り返しお伝えしています。ビジネス電子出版のメリットなどについては、以下の記事をお読みください。

⇒ ビジネス電子出版のすすめ
⇒ ビジネス電子出版5つのメリット
⇒ ビジネス電子出版を士業の先生が活用する方法

しかし、電子書籍市場が今後拡大しなければ、こうしたメリットも「絵に描いた餅」になってしまいます。「できるだけ数値を用いて具体的に書きましょう」という自分自身のアドバイスにしたがい、電子書籍の市場規模を明確にしておきたいと思います。

電子書籍の市場規模については、株式会社インプレスが毎年6月末頃に前年度の調査結果を公表しています。「あなたの電子書籍初体験はいつですか?」という怪しげなタイトルの記事で、日本における電子書籍元年を「2010年」とご紹介していますので、2010年から2014年までの市場規模の推移をみてみましょう。なお、数値データの対象期間は「年度」ですが、煩雑ですので、以下では単に「年」と表記しています。

電子書籍元年(2010年)の市場規模

2010年の市場規模については、株式会社インプレスR&Dの2011年7月7日の記事よると650億円と推計されるそうです。650億円の内、携帯電話向け電子書籍が572億円と、全体の88%を占めています。そういえば、「携帯小説」なるものがはやったことがありました。今のインディーズ作家の起源といえるのではないでしょうか。

また、電子書籍市場の今後の成長見通しについては、インプレス社の上記記事によると、2015年には2,000億円と予測しています。果たして、この予測値は達成されるのでしょうか?

2011年はまさかのマイナス成長に

株式会社インプレスR&Dの2012年7月3日の記事を見てみましょう。これによると、2011年の電子書籍の市場規模は629億円だそうです。なんと、2010年の650億円からはわずかですがマイナス成長となっています。携帯電話向け電子書籍が572億円から480億円へと大きく減少したことが響いています。

また、今後の見通しとして2015年の市場規模を1,600億円程度と予測しています。前年は、2015年の市場規模を2,000億円と見込んでいましたから、成長の鈍化がみてとれます。

電子書籍市場が再成長(2012年)

株式会社インプレスビジネスメディア の2013年6月27日の記事によると、2012年の市場規模は前年比15.9%増の729億円と大きく伸びました。この要因は、携帯電話向け市場が前年の480億円から351億円へと一段と減少した一方で、スマートフォンやタブレットなどの新たなプラットフォーム向け電子書籍市場が368億円と前年の3倍以上成長したことにあります。この年、スマートフォンやタブレット向けの市場が携帯電話向け市場を逆転したのです。

今後の見通しとして、2015年の市場規模を1,660億円と予測しています。

1,000億市場に(2013年)

株式会社インプレスビジネスメディア の2014年6月24日の記事によると、2013年の市場規模は、前年比28.3%増の936億円、これに77億円と推計される電子雑誌市場を合わせると、1,013億円と、1,000億円の大台に乗りました。2011年7月の予測では、1,000億円越えが2013年となっていましたので、的中しています。素晴らしい!

今後の見通しとして、2015年の市場規模は1,640億円としています。これに電子雑誌市場の240億円を加えた1,880億円が広い意味の電子書籍市場の予測です。

電子書籍市場の成長加速(2014年)

株式会社インプレス の2015年6月29日の記事によると、2014年の電子書籍の市場規模は1,266億円と推計され、前年から35.3%増と大きく伸びました。電子雑誌は88.3%増とほぼ倍増し、市場規模145億円になりました。両者を合わせた市場規模は1,411億円となっています。AmazonのKindleをはじめとする新たなプラットフォームの成長が大きく寄与したといえます。

電子書籍元年といわれた2010年の650億円から4年間で2.17倍の1,411億円まで急成長しています。この間の電子書籍の平均成長率は約22%です。携帯電話からその他のプラットフォームへの転換もほぼ完了しています。

さて、注目の2015年の市場規模予測ですが、電子書籍1,600億円、電子雑誌290億円の合計1,890億円となっています。2014年からの電子書籍の伸び率は26%と予測されています。さて、結果はどのようになるでしょうか。2015年の市場規模が明らかになるのは、インプレス社の従来のペース通りであれば、来年6月末頃の予定です。発表が楽しみです。

ちなみに、2019年の電子書籍市場は2,890億円と予測されています。このように、電子書籍市場は今後もますます拡大していきます。あなたもこの成長市場に参加してみませんか。

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