採択される補助金申請書の書き方について、3回にわたり書いています。採択される補助金申請書の書き方①では、日頃から自社の課題を意識し、やるべきこと、やりたいことを意識しておくことの大切さを、採択される補助金申請書の書き方②では、補助金の公募が開始されたら、まずは公募要領を確認すること、そして採択される補助金申請書の書き方③では、補助金の目的や公募事業にあなたがやるべきこと、やりたいことをマッチさせること。これらについて説明してきました。今回は、補助金申請書を書く前にやるべきことをご紹介します。
なお、この内容は、わたしの著書『採択される補助金申請書の書き方(強み経営シリーズ1): 小さな会社の補助金活用法』に詳しく書いていますので、よろしければご参照ください。
経営判断の原則
経営判断の原則(Business Judgement Rule)をご存じですか? あなたが社長様であれば、あなたには、会社の取締役の義務として「善管注意義務」があります。経営のプロとして、経営上必要な注意義務を払うことが求められます。もし怠慢や不注意で経営判断を誤り、会社に損害を与えた場合には、その責任を株主から問われます。しかし、このことが行き過ぎると、新しい取り組みは、失敗するリスクも高いですから、失敗した際の責任追及を恐れて、だれも新たなことに挑戦しなくなります。会社を取り巻く環境は、絶えず変化しているのに、これまで通りのことを続けているのでは、その方がリスクが高いですね。
そこで結果的に会社に損害を与えたとしても、その経営判断が経営のプロとして要求される以上の注意を払ったうえで行っていたと証明できれば、会社の損害に対して責任を負わなくてよい、これが経営判断の原則です。では、必要な注意を払っていたと認められるには、どのようなことが必要でしょうか。友人の弁護士によると、経営判断の前提となる資料、検討したプロセスを記した議事録、成功した場合に利益が見込まれるという資料、こららを整備しておく必要があるとのことです。
オーナー企業は関係ない?
あなたはオーナー企業の社長様ですか? 株主も社長であれば、社長が経営判断を誤り、会社に大きな損害を与えたとしても、損を被る株主も社長ですから、株主から責任を追及されることはありませんね。ですから、中小企業の社長には、経営判断の原則は関係ないかも知れません。もっとも、第三者にまで損害を与えたとなると、賠償責任を負いますけれど。
補助金と何の関係があるの?
ちょっと回りくどくなりました。補助金申請書を書く際にも、経営判断の原則で必要とされる資料の整備が不可欠だと言うことです。補助金申請書の作成をたくさん支援しています。その際共通していることが、「調査不足」ということです。補助金申請書に書いてあることが、「自分のことだけ」という場合が多いです。社長様のやりたいとこ、やるべきことで補助金に申請するのですから、「なぜやりたいのか」「なぜやるべきなのか」これは、いくらでも書ける思います。その結果、それしか書いてない。そういう申請書、多いです。
経営判断の前提となる資料、ぜんぜん集めていません。収益性の見通しもどんぶり勘定です。客観的な根拠を何一つ示さず、「これをやれば儲かる」と書いてあるのです。これでは補助金の審査員を説得することは、まったく無理です。
3C分析はやりましょう
どんな補助金に応募する場合でも、あなたがやりたいこと、やるべきだと考えていることについて、3C分析しましょう。あなたがやりたいこと、やるべきだと考えていることで、お客様にどのような価値を提供できるのか? その価値はお客様が求めているものなのか? 価格以上の価値を提供できるのか? そのような価値を提供できるような商品・サービスが他にないのか? ないとしたら、なぜないのか? こうした観点から考える必要があります。
3C分析の結果を踏まえて、申請書を書くと、ずいぶんと説得力が高まり、採択されやすくなると思います。なお、3C分析については、別の記事でも書いていますので、そちらも参考になさってください。
補助金申請書の内容は、一般的に調査不足です。あなたが応募事業についてしっかりと調べて書けば、それだけでも審査員の印象はずっとよくなり採択されやすくなります。調べるのは、時間がかかりますから、やりたいこと、やるべきことがある方は、今からしっかり調べておきましょう。そうすれば、公募期間の短い補助金でも、内容ある申請書がすぐに書け、いつも採択される状況を実現できます。
当社では、補助金申請書の作成を5社限定ですが、完全成功報酬でサポートします。ご支援を希望される方は、「補助金申請書作成支援サービス」をご利用ください。