強みをつなぐ事業承継①

経営者にとって一番大切な仕事とは?

経営者の一番大切な仕事は何でしょうか? あなたはどうお考えになりますか? 会社をつぶさないこと? 従業員の雇用を守ること? お客様に喜ばれる製品/サービスを提供すること? いやいやもっとストレートに、儲けること?

どれも大切な経営者の仕事ですね。どれが正解ということはなく、どのような観点から「一番」と考えるかにより、もっともっとたくさんの回答があると思います。では、「強み経営」の観点からはどうなるでしょうか?

強みを伸ばして一番をめざす経営をわたしは強み経営と呼んでいます。「強みを伸ばして一番をめざす」ことが強み経営のメインテーマですが、サブテーマはいろいろあります。たとえば、「強みを生かす」「強みを育てる」「強みを守る」「強みを伝える」などです。そこで、強みを生かすために経営計画をつくりましょうとアドバイスしたり支援したりしています。わたしが今一番力をいれているエストリビューターの仕事は、「強みを広める電子書籍」という強み経営のサブテーマともいえます。

そして、強み経営のサブテーマに「強みをつなぐ事業承継」をわたしは入れています。せっかく大切に育てたその会社の「強み」も会社がなくなれば消えてしまいます。それは大きな社会的損失です。経営者はいつかは引退の時期が来ます。その時に、自社の強みを次の経営者にバトンタッチできること、わたしはこの事業承継が経営者の一番大切な仕事だと思います。

事業承継は待ったなし

何事もタイミングが大切といわれます。その通りでしょう。しかし、事業承継においては、ベストタイミングでというのがなかなか難しいようです。もちろん多くの社長様は、タイミングをしっかりお考えです。先日訪問した従業員8名の会社の社長様は、今68歳だそうです。事業承継についてのお考えをお伺いしたところ、70歳で息子さんに引き継がれる予定だということです。息子さんが社内で新しい事業を立ち上げ、社長様の部門の売上より息子さんの部門の売上の方が多くなっています。スムーズな世代交代ができそうな会社でした。

別の女性経営者の場合は、お父さんの事業を引き継ぎ、その会社を立派に成長させておられます。あなたも一度は目にされているであろう商品を、自社製品として開発し全国に販路を広げていらっしゃいます。しかし、この社長様は3代目なのです。社長のお父さんが創業者で、2代目は娘婿である社長様の旦那様が事業を引き継がれたのです。しかし、社長の旦那様はほどなく亡くなられました。こうして、否応なく社長を引き継がれたのです。

後者はレアなケースなのでしょうか。政府が小規模事業者の経営について報告している『小規模企業白書』によると、現経営者が先代経営者から事業承継したきっかけの第1位が「先代経営者の死去」で36.1%を占めています。「先代経営者の体調悪化」の6.8%と合わせると、全体の42.9%がベストタイミングとは真逆の待ったなしの状況で経営を引き継がれているのです。あなたの会社は大丈夫でしょか?

息子が何歳になったら承継するのが良いか?

『小規模企業白書』によると、事業承継時の年齢が若いほど、承継後の業績が上向く傾向にあると述べています。40歳未満では54.5%が「良くなった」と回答しているのに対して、50歳代では33.6%に止まり、逆に「悪くなった」という回答がそれよりも多い38.5%となっています。後継者は息子さんに限りませんが、できれば後継者が40歳になるまでには経営を譲るべきでしょう。

といっても、実際にはここで大きな問題が生じます。それについては、また改めて書くことにします。

→ 強みをつなぐ事業承継②

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