電子書籍のeマーケティング

わたしは2008年3月に大阪市立大学大学院創造都市研究科を修了し、その後、非常勤講師や特任准教授などを務めさせていただきました。そのようなご縁で、先日、同大学院の「eマーケティング」という科目で、「電子書籍のeマーケティング」と題して、院生の皆さまにお話しさせていただきました。その内容を簡単にまとめておきます。

電子書籍の超簡略史

まず、電子書籍の歴史について、簡単に触れました。著作権の切れた書籍を電子書籍化して人類の共有財産としていこうという壮大な計画、Project Gutenbergは1971年にスタートしました。日本における同様の取り組みである青空文庫は1997年に設立されています。国内最初のデジタル書籍といわれるのが、1985年発売の三修社の CD-ROM版『最新科学技術用語辞典』、最初の電子書籍リーダーは、1990年に発売されたソニーの 「データディスクマン」です。この頃の電子書籍は、記録メディアにCD-ROMを利用していたのですね。

Apple社のiPadが5月28日に日本で発売されました。このiPadには標準でiBooks アプリが搭載されており、サンプル書籍として「くまのプーさん」が提供されていました。この年が「電子書籍元年」といわれています。

2012年10月25日にAmazon.co.jp でKindleストアがオープンしました。日本語電子書籍のタイトル数は50,000タイトル以上(内、漫画コンテンツ15,000タイトル以上、無料コンテンツ10,000タイトル以上)あったそうです。まあ、Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)が同時に提供開始となりました。これにより、個人が出版社を通さずに、電子書籍を出版できるようになったのです。

電子書籍の市場規模

日本の電子書籍市場の推移と今後の予測について、株式会社インプレスのニュースリリースをから次の図を紹介しました。

160116_1

出所:「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2015』」

電子書籍のタイトル数

電子書籍のデータベースである hon.jp を紹介しました。hon.jp には、日本国内で販売されている電子書籍が、90万タイトル以上登録されています。また、Kindleストアで販売されている本のジャンル別タイトル数も紹介しました。kindleストアでの登録タイトル数の多いジャンル上位5位は

  1. コミック 140,755 タイトル(31.55%)
  2. 文学・評論 77,507 タイトル(17.37%)
  3. ラノベ・BL 38,924 タイトル(8.73%)
  4. 人文・思想 27,001 タイトル(6.05%)
  5. アダルト 24,949 タイトル(5.59%)

となっています。約三分の一がコミックです。一方、登録数の少ないジャンル上位5位は

  1. 楽譜・スコア・音楽書 585タイトル(0.13%)
  2. 資格・検定・就職 927 タイトル(0.21%)
  3. 語学・辞事典・年鑑 3,155 タイトル(0.71%)
  4. エンターテイメント  3,186 タイトル(0.71%)
  5. 医学・薬学 3,297 タイトル(0.74%)

でした。なお、これは、2016年1月16日正午頃に調べた数字です。この時点の総タイトル数は446,117タイトルでした。

電子書籍のeマーケティング

電子書籍は、スマートフォン向けデジタルコンテンツであり、eマーケティングが100%通用すること、読者とのコミュニケーションが不可欠であり、そのために、ブログやソーシャルメディアが最大限に活用されていることを説明しました。「電子書籍を出版する5つのメリット」「ビジネス電子出版するまでのプロセス」などの記事を元に、電子書籍を出版すべき理由や売れる電子書籍の作り方についても紹介しました。

社会人学生の方との質疑応答など、たくさんの刺激をいただくことができました。受講いただいた社会人院生の皆さま、ありがとうございました。