小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む⑥

小規模事業者持続化補助金に限りませんが、補助金に採択される申請書を書くには、【公募要領】をよく読むことが大切です。そこで、小規模事業者持続化補助金の【公募要領】にはどんなことが書かれているか、実際に読んでみましょう。

あなたが営業している地域が、商工会議所管轄なのか、商工会管轄なのかの確認が必要ということについては、「小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む①」でご説明しました。申請書を書く前に「審査の観点」を確認することも大切です。小規模事業者持続化補助金の「審査の観点」は、大きく3つに分かれています。

小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む②」では、3つ内の「Ⅲ.その他」を確認しました。「Ⅲ.その他」によると、常時使用する従業員の数が5人以下の事業者や過去に本補助金の交付を受けていない事業者は優先的に採択されます。該当する方は、ぜひ積極的に利用しましょう。

小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む③」では、「Ⅰ.基礎審査」のうち、①必要な提出資料がすべて提出されていること、②「2.補助対象者」(P.32~34)および「3.補助対象事業」(P.35~37)の要件に合致すること、について確認しました。

小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む④」では、「Ⅰ.基礎審査」の③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること、及び、④小規模事業者が主体的に活勤し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること、について確認しました。

小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む⑤」では、「Ⅱ.加点審査」項目のうち、経営計画書の評価ポイントについて説明しました。今回は、補助事業計書の評価ポイントを確認しておきましょう。

補助計画書の様式

補助事業の様式を見ておきましょう。補助事業は、経営計画の「4.経営方針・目標と今後のプラン」で決めた内容に基づいて、販路開拓のために具体的に何をするのかを書きます。

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【公募要領】p.35に「(様式3)補助事業計画書 1. 補助事業の内容「2.販路開拓等の取組内容」に記載いただく取組イメージです。」として、次のような例が書いてありますので、これを参考にどのようなことを実施するか考えましょう。

  • 新商品を陳列するための棚の購入
  • 新たな販促用チラシの作成、送付
  • 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
  • 新たな販促品の調達、配布
  • ネット販売システムの構築(他者の運営するインターネットショッピングモールの出品・利用料等は補助対象となりません。)
  • 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
  • 新商品の開発
  • 商品パッケージ(包装)のデザイン改良(製作する場合、事業期間中にサンプルとして 使用した量に限ります。)
  • 新商品の開発にあたって必要な図書の購入
  • 新たな販促用チラシのポスティング
  • 国内外での商品PRイベントの実施
  • ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
  • (買い物弱者対策事業において)移動販売車両の導入による移動販売、出張販売
  • 新商品開発に伴う成分分析の依頼

販路開拓として有効であれば、上記に限られるわけではありません。自由に発想しましょう。ただし、補助事業計画の有効性に関する加点審査のポイントを十分意識する必要があります。【公募要領】p.53を確認します。審査ポイントは次の3つです。

  1. 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
  2. 地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
  3. 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。

「2.販路開拓等の取組内容」にあなたが書いた内容について、商工会議所・商工会の担当者から上記3つの観点が十分に書き込まれているか、フィードバックしてもらいましょう。

補助事業の効果とは

これについては、【公募要領】p.25 の記入例に、「本事業を行うことにより、売上げ、取引などにどのような効果があるか可能な限り具体的にお書きください。その際、事業を行うことがその効果に結びつく理由も併せてお書きください。」という指示があります。記入例と合わせて参考にしましょう。

業務効率化の取組

「3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意項目です。販売プロセスや顧客開拓に非効率な部分があり、それによってリピート購入や新規顧客獲得に悪影響があるような場合は、非効率な部分の改善策を考えて、この欄に記入しましょう。こうしたことがなければ、書く必要はありません。空欄でかまいません。

この欄に記入した場合は、上記の3つの審査ポイントから記載内容の妥当性を商工会議所・商工会の担当者にチェックしてもらいましょう。

補助対象経費の妥当性

加点審査の最後のポイントが、「④積算の透明・適切性」です。これは、「事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか。」という観点です。評価対象は次の「(様式3)補助事業計画書 2. 経費明細表」です。

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これも記載内容の妥当性を商工会議所・商工会の担当者にチェックしてもらいましょう。

採択経験者の場合

この補助金で採択されたことがある事業者については、さらに次の観点から審査されます。【公募要領】p.53 参照。

前々回(平成25年度補正事業)や前回(平成26年度補正事業)に採択を受けて補助事業を実施した事業者については、全体を通して、それぞれ実施回の事業実施結果を踏まえた補助事業計画を作れているか、前身回、前回の補助事業と比較し、明確に異なる新たな事業であるか、といった観点からも審査を行います。

これについては、「小規模事業者持続化補助金の【公募要領】を読む③」で紹介した次の図をイメージして、これまでとは異なる販路開拓事業を考えてください。

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「補助金活用法」と「自分で書ける経営計画」

あなたが過去に「小規模事業者持続化補助金」に応募したことがなければ、宣伝めいて恐縮ですが、ぜひわたしが書いた『採択される補助金申請書の書き方(強み経営シリーズ1): 小さな会社の補助金活用法 』と『自分で書ける「小規模事業者持続化補助金」の「経営計画」(強み経営シリーズ2): 小さな会社の経営計画』をお読みください。

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『自分で書ける』は「小規模事業者持続化補助金」の経営計画のフォーマットを使って、経営計画のつくり方をご説明していますので、参考になると思います。