「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」の留意事項

「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」のご相談を受けています。この補助金は過去に3回、同様の公募が行われ、毎回少しずつ変更されています。今回の公募で変更なった点をいくつか確認しておきます。過去にこの補助金を活用された方は、「前と同じ」と考えていると思わぬ失敗につながりますので、ご注意ください。

なお、以下の記述はわたしの考えであって、実際の審査の内容を確認して記載しておりませんので、参考程度とお考えください。

「経営革新計画」は補助事業と無関係でもOK

過去3年から5年以内に経営革新計画の承認を受けている企業は加点されます。正確には「申請時に有効な経営革新計画の承認を受けている企業」が加点対象です。経営革新計画の期間は、3年、4年、5年とありますので、「5年計画」で承認を受けて入れば、過去5年以内に承認を受けていれば、加点対象です。

応募する事業内容で承認を受けている必要はありません。どのようなテーマであれ、承認を受けていればOKです。何点加点されるかはわかりませんが、承認決定の通知書のコピーを6部用意しましょう。

なお、経営革新計画の承認を受けていない方が、今から承認を受けるのは、期間的になかなか難しいと思います。ただ、この補助金に限らず、「経営革新計画の承認を受けていること」は会社の地位をを確実にアップしますので、まだ承認を受けていない方は、この機会にチャレンジされてはいかがですか?当社でも、経営革新計画の承認支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。

中小会計要領又は中小指針の適用は加点ポイントから除外です

計算書類が「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けている場合には加点ポイントでしたが、今回はこの項目はありません。中小企業に「中小企業の会計に関する基本要領」の普及を促すために、これまで加点ポイントにされていましたが、相当程度普及したと判断したのでしょうか。少なくとも、ものづくり補助金に応募するような企業では、ほとんど適用を受けていたため、加点ポイントにしても差がつかなかったためだと思われます。

海外市場の新たな獲得とは?

公募要領の「審査項目(5)その他」には、「本事業によりTPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得をめざす企業」とあります。さらに「加点内容は(様式2)事業計画書7ページを参照してください」と書かれています。そこには、「2.TPP 加盟国等への海外展開により、海外市場の新たな獲得を目指す企業は、国名と具体的な計画を記載してください。」と書いてあります。

審査要項では、「本事業により」と書いてあり、事業計画書ではその文言がありません。ここは素直に、事業計画書の文言通りに解釈しましょう。つまり、「本事業により」という制約は考えずに、あなたが今後海外市場への進出を検討しているのであれば、その内容を書いておきましょう。

ちなみに、「TPP 加盟国」とは、「オーストラリア・ブルネイ・カナダ・チリ・日本・マレーシア・メキシコ・ニュージーランド・ペルー・シンガポール・米国・ベトナム」です。また、TPP 加盟国「等」とあるので、これらの国々に限定されるわけではありません。この項目については、海外進出計画を幅広く評価されると考えて良いと思います。

事業期間が短いです

事業期間は交付決定日から平成28年12月31日までです。小規模型はさらに短く、11月30日までです。交付決定日がいつになるかは定かではありませんが、応募締め切りが平成28年4月13日ですから、早くても7月頃になるのではないでしょうか。それから12月末までですと、実質的には5ヵ月ほどしかありません。

補助金額3,000万円を狙って大型の設備投資をお考えの場合、補助対象となる設備を交付決定後に発注して12月末までに設置か完了し、効果が測定できる状態にまで遂行できるかは、難しい場合が多いのではないでしょうか。大型設備の場合、受注生産や海外からの輸入になる場合が多く、納期が相当程度かかります。

12月末までに設備が届かなければ、補助対象経費とはなりません。このことは、公募要領の「(2)補助対象経費全般にわたる留意事項 ②以下の経費は、補助対象になりません。」に「補助金交付決定日よりも前に発注、購入、契約、または事業期間終了後に納品、検収等を実施したもの」と明記されています。これに該当すれば、絶対に補助対象経費には認められません。

機械メーカーに、納期が大丈夫なのか良く確認しておいてください。採択されたから喜んで発注したら、12月末までに納品されなかった。この場合、設備費用の全額が自社負担となります。小さな会社であれば、命取りになりかねない状況に陥りますので、くれぐれもご注意ください。

補助金を有効活用するため

以下の記事もご参照ください。

やるべきコトが明確ですか? → 採択される補助金申請書の書き方①

公募要領を確認しましたか? → 採択される補助金申請書の書き方②

やりたいことを補助金にマッチさせる → 採択される補助金申請書の書き方③

3C分析はやりましょう → 採択される補助金申請書の書き方④

何度応募しても落とされる場合の対処法 → 採択される補助金申請書の書き方⑤

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