強みをつなぐ事業承継⑦

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事業承継について、承継の形態ごとに留意事項などをご説明してきました。今回は、経営が厳しい会社の事業承継について考えみたいと思います。

金融円滑化法の功罪

金融円滑化法の正式名称は、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」です。借入金の返済条件は、契約事項です。つまり借り手企業と貸し手金融機関の間での約束です。約束ですから、守らなければなりません。しかし、リーマンショックや大地震などの予期せぬ外部環境の変化によって、経営状況が急激に悪化するということはよくあります。

こうした事態も想定して備えておくのが、経営者の役割といえばそうなのですが、なかなかそうはいかないものです。したがって、約束通りの返済が難しくなった場合、企業は金融機関に条件変更の申し入れをせざるを得ません。しかし、この交渉はとてもハードルが高いものでした。おいそれと応じてもらえるものではありません。「晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる」とは、こうした銀行の対応をいう言葉です。

ところが、金融円滑化法はこうした状況を一変させた法律です。この法律では、中小企業が条件変更を銀行に申し入れた際には、できる限り応じるように求めています。リーマンショック後の金融危機・景気低迷への中小企業対策として、2009年12月に約2年間の時限立法として施行されました。しかし、2011年に発生した東日本大震災の影響を踏まえて、期限が2度にわたり延長され、2013年3月末で終了しました。この間、30万社以上の企業(個人事業主を含む)が利用したといわれています。

条件変更ですから、元本の返済が免除されるわけではなく、一時的に元本の返済をストップして、その間利息のみ支払い、5年返済の約束を7年とかに延長するものです。元本の返済をストップしている間に本業を立て直し、数年以内に正常な返済に戻すというのが狙いです。

これによって多くの企業が倒産を免れたのは事実です。このため、法律が終了すると中小企業の倒産が一気に顕在化するともいわれていました。幸い期限到来後も大きな混乱はありませんでした。しかし、元本返済猶予の状況からなかなか復帰できない企業も多くあります。製造業における下請け構造からの脱却やサービス業における生産性向上などの根本的な課題解決は図られず、問題を先送りしただけという批判もあります。

第二会社方式

さて、返済を延期することを「リスケ」といいますが、リスケしている会社は、資金調達が事実上できません。新しいことに取り組むにも、お金が必要ですが、その調達が難しいのです。こうした状況の会社の承継、あるいは立て直しでよく利用されるのだ、第二会社方式という手法です。

この場合、対象企業全体としては赤字だが、黒字の部門があることが前提となります。この黒字部門の会社を別会社として切り出して事業を存続させる一方、残った会社は整理する手法です。現経営者は整理会社の経営責任をとる必要があります。黒字部門だけでも承継させることで、強みをつなぐことができます。

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