2015年の電子出版市場は1,502億円

出版物販売額が過去最大の落ち込み

出版科学研究所の「出版月報2016年1月号」の記事によると、2015年の国内の出版物販売額が過去最大の落ち込みとなりました。書籍の販売額は、前年の4%減からは若干改善した1.7%減の7,419億円、雑誌の販売額は8.2%と過去最大の落ち込みとなり、7,801億円。両者を合わせた出版物販売額では、5.3%減の1兆5,220億円と推計されるそうです。

書籍は『火花』が240万部を超える大ヒットとなり、その波及効果もあって、2011年の0.2%減以来の5年ぶりの小幅なマイナスに留まりました。しかし、文庫本は「危機的状況ともいえる低迷ぶり(同誌)」だそうです。これについては「スマートフォンとの時間の奪い合いも一因(同誌)」と分析しています。

さらに深刻な状況が続いているのが、雑誌です。雑誌の販売額は、1998年から18年連続でマイナスが続いています。1997年には1兆5,644億円だった販売額が半減して、7,801億円まで減少しています。かつて書籍の1.5倍あった市場規模は、今では書籍と同じくらいまで縮小しています。「若者の雑誌離れ」が大きな要因です。雑誌が売れないことが中小書店の廃業につながっているそうです。

出版科学研究所が電子出版市場を初めて推計

出版科学研究所による電子出版の市場規模推計が「出版月報2016年1月号」で初めて公表されました。電子出版の市場規模はインプレス総合研究所が2003年から毎年発表していますが、60年以上にわたって紙の出版市場の統計を行ってきた出版科学研究所が今回初めて電子出版の市場規模を公表したことは画期的です。なお、インプレス総合研究所が年度(4月~3月)での統計なのに対して、出版科学研究所の統計は暦年(1月~12月)ベースとなっています。

電子出版市場は1,502億円

出版科学研究所によると、2015年の電子出版市場規模は1,502億円だそうです。同研究所では、「電子出版市場を文字ものの「電子書籍」、コミックの「電子コミック」、雑誌の「電子雑誌」と3分野に分け(同誌)」て推計しています。「出版月報2016年1月号」から引用します。

20142015前年比占有率
電子コミック882億円1,149億円130.3%76.5%
電子書籍192億円228億円118.8%15.2%
電子雑誌70億円125億円178.6%8.3%
合計1,144億円1,502億円131.3%100%

これをみると、電子出版市場は、相変わらず「電子コミック」が牽引していることがわかります。

紙のコミックが約6%減の2,120億円、電子コミックが約30%増の1,149億円、合計で4.2%増の3,269億円となり、デジタルが紙の市場を補完し拡大させている。(出所『出版月報2016年1月号』)

電子コミック市場と比較すると、電子書籍は約5分の1の市場規模です。伸び率も低いです。2015年は第二の電子書籍元年か? という記事で、「芥川賞受賞作『火花』の電子書籍のダウン ロード数が10万を突破した」と書きました。『火花』は単行本251万部に対して電子書籍は13万ダウンロードされたそうです。電子書籍のシュアは約5%です。コミックを除く紙の書籍の販売額は約5,299億円ですから、電子書籍のシェアは約4%になります。

電子書籍はスマートフォン向けコンテンツという側面が強いです。電子書籍の中でも「キャラクター色の強いライトノベルはコミック的な売れ方をし、堅調だ。(『同誌』)」ということからも裏付けられるでしょう。スマホでコミックを読み、ライトノベルを読む。こうした消費者行動が定着しつつあるようです。

2015年の電子書籍化率は18%?」という記事を2016年元旦に書きましたが、文字中心のデジタル書籍を「電子書籍」と定義すれば、そのシェアは4%で、まだまだ伸びしろがあるようです。

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